ツール・ド・フランス観戦記 ~第8ステージ~
この日は第3ステージの“ユイの壁”に続き、再び“壁”ゴールのステージです。
その名も“ブルターニュの壁”
全長2kmとユイの壁(1.3km 平均勾配9.6%)よりも長い坂だが、前半1kmの勾配が9.8%、後半1kmの勾配が4.1%と難易度は低く、クライマーより緩斜面となった後半でのアタックというパンチャー向けのステージです。
レースはこの日も4人の逃げグループが形成された。
メンバーは、ブルターニュのペリコン、ユーロップカーのシカール、IAMのシャバネル、ボーラアルゴンのフザルスキー。
メンバー的にはシャバネルが一番大物かな。
ロット・ソウダルのデヘントがひとり先頭を引き、その後ろにティンコフ、BMCが続く展開。
逃げグループとメイン集団の差は、残り120kmで2分半とこの日もそれほど大きな差とはならず、集団が射程圏内で泳がせている展開。
激しいレースが多かった第1週のこれまでとは異なり、その後も淡々とレースは進み、集団はリラックスムード。
平均時速も39.8kmとコースレイアウトからしても緩い展開。
中間スプリントでは逃げグループで4位までを取っており、集団からのスプリントは5位グライペル、6位デゲンコルブ、7位カベンディッシユとなり、カベンディッシュを引いたエティックス=クイックステップのアシストを1人挟んで9位サガンという順番で通過。
しかしグライペルはかなり調子がいい様子。
他のスプリンターはゴールを争うことはないと予想される中、ゴールも狙うサガンはここではちょっと控えた印象。
中間スプリントポイントを通過後、スプリントポイントに向け集団から抜け出した選手とジャンプした選手15名程度がメイン集団から抜け出し追走集団が形成される。
これにはグライペル、サガンらが含まれていた。
追走集団からクビアトコウスキー(エティックス=クイックステップ)がブリッジを架け、逃げグループと合流。
更に追走集団から、エティックス=クイックステップのゴラス、ロット・ソウダルのバク、ボーラアルゴンのフザルスキーが抜け出し再度逃げグループが出来上がった。
それ以外の追走集団の面々はほどなくメイン集団に吸収される。
残り50km付近で、追走集団を吸収後集団は再度抜け出しを狙う選手等で一時活性化するが、その後キャノンデール・ガーミンが集団をコントロールして大きな動きなく進む。この時点で逃げ3名との差は1分。
その後もタイム差は変わらず進むが、残り25km切った付近から差が縮み始め、残り20kmで30秒、残り10kmで15秒となり今日最初の逃げに乗り、逃げ続けてきたフザルスキーが逃げグループから遅れる。
ゴールが近づきペースが上がり登りに差し掛かったところでカベンディッシユが集団から遅れる。
残り8kmで逃げていた2人を吸収。デゲンコルブも集団から遅れ、残り6kmでグライペルも遅れる。やはり比較的“登れるスプリンター”と呼ばれている彼らでもキツイということは結構厳しい登りペースなんですねぇ。
残り2kmの坂の入り口に向け集団では位置取り争いが激化し、スカイ、キャノンデール・ガーミン、ロットNL、FDJなどが先頭争いを繰り広げる。
スカイ先頭を確保し、フルームは2番手、それにホアキン、サガンが続く。
前半9.8%の区間で、クビアトコウスキー、マイヨ・ブラン・ア・ポア・ルージュのテクレハイマノも遅れる。
フラムルージュ過ぎたところでフルームがいつもの高ケイデンスで仕掛けのまま後方をちぎると思われるが、ヴュイエルモーズ(AG2R)がさらに仕掛け抜け出した。
4強ではニバリが遅れてしまう。
仕掛けたヴュイエルモーズをダニエル・マーティン(キャノンデール・ガーミン)が追うが、時すでに遅しといったタイミングだった。
前2人の後ろに続く集団では牽制が入り前を追うことは諦めた状態。
第3ステージ“ユイの壁”でホアキン、フルームに続く3位フィニッシュと密かに実力を見せていたヴュイエルモーズがステージ初優勝。ダン・マーティンは悔しそうに2位ゴール。
集団では最後のスプリントをバルベルデが制し集団の頭を確保。それにサガン、ギャロパンが続き集団はなだれ込みでゴール。
集団で揃ってゴールした4強のうちの3人に対し、途中遅れたニバリだけが10秒を失ってしまった。
この日も4着でポイントを重ねたサガンがついにマイヨ・ヴェールを獲得!!
これから先ピュアスプリンター向けのステージは最終ステージまで無いし、中間スプリントポイントも山岳の後に設定されていたりする部分もあるので、これから先ライバル勢に差をつけてキープ出来れば、マイヨ・ヴェール4連覇が見えてくるかなー。
是非4連覇を見たいので頑張って欲しいですね!!