はじめてのロードバイクの選び その2
前回ロードバイクの見分け方や購入方法について3つのSTEPに分けて紹介しましたが、今回はメーカーやバイクタイプ、コンポーネントについて書いていきます。
STEP3:メーカー
実際に買おうと思った時どのメーカーのものを買えばいいでしょうか?
メーカーに関しては正直なところ完全に「好み」の問題です。
とにかく安い方がいいという人もいれば、人と被らないメーカーがいいという人、国産がいいという人、ブランド・舶来思考の強い人もいるでしょう。
どれが正しいかはなく、あくまで個人の「好み、思考」です。
もちろんメーカーによって特性の違いはありますが、性能の違いについてはアマチュアライダーが同じくらいのグレードの異なるメーカーのバイクを乗り比べても良し悪しはなかなかわからないと思います。特にロードバイク初心者の方であれば尚更です。
当然自分に合う、合わないがある可能性はありますので気になるメーカーが複数ある場合は、試乗等をしてみるという手はありますが、購入予算にあった範囲で自分の好みのデザインがあるメーカーのバイクを選ぶのが一番よいと思います。
そもそもどんなメーカーがあるのかもわからないという方もいらっしゃると思うので、国や地域別にいくつかのブランド挙げておきます。
これらのブランドはある程度ロードバイクに詳しい人なら誰もが知っているメジャーブランドです。
もちろんこれら以外のブランドがダメというわけではありませんが、『出来ればみんなが知っているメジャーブランドがいい!!』という方はこれらを選べば間違いないはずです。
アメリカンブランド:スペシャライズド、キャノンデール、トレック
ヨーロピアンブランド:スコット、フォーカス、リドレー、キャニオン、フェルト
イタリアンブランド:デ・ローザ、ピナレロ、コルナゴ、ビアンキ、ウィリエール
アジア圏ブランド:ジャイアント、メリダ、アンカー
※メーカーの詳細や特徴は少しづつ紹介していければと思います。
STEP4:フレームの素材
フレームの素材は、カーボンもしくはアルミニウムに分けることが出来ます。クロモリやチタン等、他の素材もありますが、現在市販されているロードバイクの大多数はカーボンかアルミです。
カーボン素材の特徴は何と言ってもその強度と軽さです。
平地にしても、登りにしても、「重量」=「抵抗」なのでより速く走るには軽量であるに越したことはありません。その軽さと強度を兼ね備えた素材として、かつて主流であったクロモリやアルミを抑えカーボンバイクがプロロードレース界の主流となっています。
また、カーボン素材は衝撃吸収性能も優れているため乗り心地がよく、適度にフレームがしなるため脚への負担少なく、疲れにくいと言われていますが、その分アルミにより高価です。
性能以外でもカーボンバイクは炭素繊維から作られたカーボンクロスと呼ばれる生地を樹脂と共に幾重にも重ねて金型で成型しているため、アルミバイクと違いフレーム自体に繋ぎ目がなく美しい仕上がりであるという特徴もあります。
アルミは剛性が高く、フレームがあまりしなることがないためペダルを踏んだらその分しっかり反発して小気味よいペダリングが可能で、豪脚の方でパワーが逃げることが少ないという特徴があります。
価格もカーボンより安価なため、エントリーモデルと言われるグレードのバイクは、ほとんどがアルミ、もしくはフレームはアルミ、フロントフォークのみカーボンで作られています。
同じ金属系でもクロモリとは異なりその強度から肉薄大口径のチューブで軽量なバイクを作ることもでき、例えばキャノンデールのCAAD12などはカーボンバイクに負けずとも劣らない軽さと剛性を備えています。
では、どちらがよりよい素材か優劣をつけるとするのであれば、それはもちろんカーボンです。
実際トッププロのレースで使用されているバイクは100%カーボンバイクですので、価格面を度外視で言えば素材としての優位性はカーボンにあります。
しかし、自転車で速く走るのに一番重要なのはエンジンである私たちです。カーボンというだけで速く走れるわけではないですし、初心者の方が1台目として選ぶのであれば、コスト面での優位性もありますし、性能面でもアルミバイクで何ら問題はありません。中級者以上でもアルミバイクを好んで乗っている方もたくさんいます。
なお、カーボンバイクの方が落車等により破損するリスクがアルミに比べて高いので注意が必要ですが、アルミも衝撃次第では破損しますし、金属疲労により劣化しますので、一概にアルミの方が耐久性が高いとも言えません。
※金属疲労による劣化で破損するということはまずないと思います。剛性が下がるイメージです。
※カーボンも経年劣化はしますが、一般のライダーが週末に乗るレベルで言えば10年は先の話ですし、こちらもそれによる破損等はまずありません。
STEP5:バイクタイプ
「メーカー」と「素材」。選ぶポイントはそれだけでしょうか?
実は一口にロードバイクと言っても種類があって、呼称は各メーカーによって異なりますが、「コンペティティブ」と「エンデュランス」という2つのタイプに大別することが出来ます。
コンペティティブはレーシーなモデルで乗り味は固めで加速等に優れたバイク、エンデュランスは乗り心地重視の疲れにくいバイクと言ったイメージです。車で例えるならコンペティティブはスポーツカー、エンデュランスは高級サルーンといった感じでしょうか。
両者は似たような形をしていても、フレームの設計や素材の使い方が異なるため、長距離を走った場合、かなり乗り味、疲労の度合い等が変わってくるので、利用用途にあった特性をもつタイプのバイクを選ぶようにしましょう。
STEP6:コンポーネント
完成車の場合、同一車種でもコンポーネントによって価格帯が異なることがありますが、どのコンポーネントを選ぶのがいいのでしょうか?
コンポーネントはロードバイクの駆動系・変速系に関連するパーツの総称で、コンポーネントのグレードにより、変速性能やブレーキ性能等が変わってきます。もちろん上位グレードの方が重量も軽く、耐久性にも優れています。
※コンポーネントに関する説明は以下をご参照ください。
コンポーネントについて その1 コンポーネントについて その2 コンポーネントについて その3
コンポーネントはどこのメーカーのどのグレードを選べばよいでしょうか?
まずどこか1つのメーカーをおすすめするというのであれば、やはりシマノでしょう。実際にエントリーモデルからミドルレンジの「完成車」の大多数がシマノコンポで組まれています。
日本のメーカーであるため、取扱店も多く、リペアパーツ等も手に入りやすく、価格も海外の2メーカーと比較して安い傾向にあります。
また、サードパーティー製のアップグレードパーツやドレスアップパーツも多数出ているので、後々パーツ交換する場合も選択肢が豊富です。逆にシマノやスラムと規格の違うカンパニョーロには対応していないパーツも結構あります。
もちろんカンパニョーロやスラムがダメというわけではなく、それぞれの良さはあります。実際筆者もカンパニョーロコンポの完成車を購入しており、カンパニョーロ独特の造形美やブラケットの握りやすさは非常に気に入っています。
では、グレードはどうでしょうか?
予算が青天井であれば、デュラエース(シマノ最上位グレード)を選択すればいいのですが、実際は予算には限りがあるので、ロードバイクの利用目的にあったグレードのコンポーネントを選びましょう。
週末にロングライドに出掛けたい、快適且つスピーディに自転車通勤がしたいという利用目的であれば、ティアグラがおすすめです。エントリーグレードのフレームにはティアグラが搭載されている場合が多いです。
昨年のモデルチェンジにより進化を果たしています。
上位モデルと同様の4アームクランクへの変更により軽量化や剛性が高められ、リアも上位モデルと同様の11速へと変更されています。
また、シフトレバーが上位モデル同様の構造に変更され、外出しであったシフトケーブルをレバーの中に収めたことで、見た目もスタイリッシュになりました。
レース等に積極的に参加したい、もしくは初めはロングライドがメインだが、ゆくゆくはレースイベント等にも参加してみたいという方は、もうひとつ上位モデルの105を選ぶとよいでしょう。
こちらも一昨年モデルチェンジされ、ティアグラと同様にアルテグラ以上のモデルと同様のクランクの4アーム化、リア11速化されています。
一般的に105以上のモデルであれば、細かい変速やレーススピードからのブレーキングが求められるレースシーンでも十分使用可能な性能を備えていると言われています。
さらに上には機械式アルテグラ、デュラエースと、それぞれの電動式モデルがあるわけですが、アマチュアライダーが肌で感じられる性能差はほとんどなく、ローディ特有の所有欲を満たす世界だと個人的には思っています。(注:ブレーキ性能はかなり違うと言われています)
と、ここまでサイクリング・街乗りメインならティアグラ、レースを視野に入れるなら105、と話を進めて来ました。
ティアグラはどちらかと言えばエントリーグレードですが、アマチュアライダーには十分な性能を備えており、「完成車」の価格も105完成車とティアグラ完成車では結構な差があり、コストパフォーマンス面でもティアグラの優位性はあります。
105とティアグラのコンポーネントだけの価格を見た場合、1万弱しか価格差がありませんが、完成車の価格はコンポ以外のパーツ等にもより変動するのでそれ以上の価格差がある場合が多いのですが、性能はもちろん105の方がいいので、完成車価格に大きな差がなく予算が許すのであれば、105完成車をおすすめします。
前述の通りティアグラでも性能自体は問題ありませんが、ロードバイク初心者のうちは競技志向でない方も、走り慣れていくにつれ後々レースイベントに出たくなるということはよくあることです。
フレーム同様、後から買換えたりすると余計にお金がかかるので、納得のいくものを選ぶようにしましょう。
なお、製品自体を否定するわけではありませんが、シマノで言えばソラ以下、カンパで言えばベローチェ以下のグレードのコンポーネントは、街乗りやサイクリング等であれば何の問題もないですが、性能がどうのというより、後々買換えたくなる可能性が非常に高いと思うので個人的にはおすすめできません。
▼結論
優先事項1:フレームはとにかく見た目!!現実的な予算内で妥協なく満足がいくものを!!
優先事項2:メインコンポはシマノ105!!(予算次第ではティアグラ)
「散々、長々と書いておいて結局それだけかよ!!」というツッコミが入りそうな気がしますが、上記を踏まえて選べば、超競技志向等の場合を除き、どのような利用用途でも対応可能ですし、特に見た目は妥協せずにこだわった方が愛着もわきますし、ロードバイクに乗ることへのモチベーションもより高くなると思います。
逆にそこで妥協してしまうと「やっぱりあっちにしておけばよかった」となってしまい、短期間で買換えてしまったり、買い換えないまでもいまいち愛着がわかず結局ロードバイクから遠ざかってしまったりする可能性もあるので、多少予算オーバーでも「自分のバイクが一番かっこいい!!」、そう思える様な自分好みの一台を是非選んでください。
なお、105完成車の場合、価格帯としてはどんなに安くても17~18万円以上はします。
当然もっと低価格帯のバイクもありますし、それが一概に悪いとは言いませんが、前述の通りあまり妥協して安いものを買うと、後から買換え、パーツ交換等で結局トータル金額が高くなったというケースは多々あるので、予算不足の場合は無理せずお金を貯めてから買うものありだと思います。