ツール・ド・フランス観戦記 ~第3ステージ~
第3ステージの観戦記書いていきます。
第3ステージはゴールが“ユイの壁”の坂上に設定されており、プチ・フレッシュ・ワロンヌと呼ばれるコース設定です。
ツール・ド・フランス特集⑥ ~サイクルロードレース的用語集~の「勾配」のところで紹介しましたが、ユイの壁は最大勾配26%を誇る超激坂です。
といっても、最大勾配26%はコーナーの内側を通った場合の勾配で、19%というのが実際のコースとしての最大勾配です。
筆者も22%の坂を登ったことがあるんですが、インナーローでないと回せないですし、速度も10km/hが限界でしたが、プロ選手は時速20km/hで登って行きます。
フレッシュ・ワロンヌではそんなユイの壁を3回も登りますが、距離が1,300mと短いので、プロ選手からしたら “走るだけ”なら超級山岳とかと比べてかなり楽なのでしょう。
でも実際はそこで、“レース”をするというんだから恐れ入りますね。
話を戻して、、
この日のコースはアントワープからユイまでの159.5kmで、今大会初の山岳ポイントも設定されているので、誰が最初の山岳賞マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュを獲得するかも見ものです。
この日も第2ステージ同様にスタート直後に4名の逃げが決まります。
逃げたのは、バルタ(ボーラアルゴン)、ノロー(ユーロップカー)、エルミガー、(IAM)、パウエルス(MTNクベカ)の4名。バルタは昨日の第2ステージに続き2日連続での逃げとなった。
バルタは昨日逃げた4名の中で最後まで逃げ粘り、通例での“敢闘賞”を獲得するかと思われたが、一番先頭を引いたという理由でまさかのクビアトコウスキー(エティックス・クイックステップ)に敢闘賞が与えられたので、意地の逃げかもしれないですね。
レースは、アスタナ、FDJ、総合リーダーを要するトレックが引く展開で進み、逃げグループとの差は2分ほどまでひらく。
途中マイヨ・ジョーヌのカンチェラーラ(トレック)がメカトラ?無線不調?で遅れるも、すぐに集団に復帰し、大きな動きなく逃げグループとの差は更に3分40秒まで広がる。
スカイ、トレック、カチューシャ、ティンコフ、モビスター、アスタナが集団先頭でトレインを形成し集団をコントロール、残り120km地点で逃げグループとの差は3分50秒。
残り80km付近から集団がペースアップしタイム差は縮みはじめ、残り70km付近で1分切る。
更にペースアップした残り60km付近でこの日最大の出来事となる大落車が発生。
FDJのボネが集団前方へ上がって行く際にジャイアント=アルペシンの選手の後輪と接触し落車。後続がそれに突っ込む形で50名ほどが絡む大落車となってしまいました。
落車といえば、横に転ぶケースが多い気がしますが、この日はかなりスピードが上がっている状態だったため、ほとんどの選手が前に投げ出される形で非常に危険な落車となった。
この落車に総合リーダーのカンチェラーラも巻き込まれてしまった。
結局、この落車でデュムラン(ジャイアント=アルペシン)、サイモン・ゲランス(オリカグリーンエッジ)、ボネがリタイアとなってしまう。
早くもエースを失ってしまったオリカグリーンエッジがこの後どう動いてくるか。
ゲランスもプレゼンテーションで、ステージ優勝は狙えると話していただけにスプリント区間でのマイケル・マシューズ、期待の若手クライマーツインズ、アダムとサイモンのイェーツ兄弟が一発を狙ってくる!?
でもマシューズも落車に巻き込まれケガしてたなぁ。。
大落車のためニュートラル宣言がされるが、落車によるニュートラルは通常行われないため、かなりの選手がこれに反発、スカイ等がペースアップしレースは進行する。
しかし、結局ニュートラルとなり集団先頭をコミッセールカーが抑え完全停止となる。
この間にカンチェラーラら遅れた選手が集団に合流するも、かなり痛そうな表情をしていた。
異例の落車でのニュートラルとした理由は、多数の選手が巻き込まれ、ドクターカーがその対応に追われたため、この先でアクシデントが発生した際に即時対応が出来ない可能性があるという、安全面を考慮したものだった。逃げグループも既に少し手前で吸収されていたし、あれだけ大きな落車だったのでそこで差を広げるというのもフェアじゃないので、ここは安全面優先の対応でとかったろ個人的には思う。
10分ほどの停止後、コミッセールカー先導で集団は動きだし、直後に設定されていた4級山岳はキャンセルされ、頂上までニュートラルで進んでいくもそのペースにもついて行けず、マシューズが遅れる。
頂上通過後レースが再開され、アスタナ、ティンコフが先導し残り40km付近で、集団がペースアップし中切れが起こる。
128km地点に設定された中間スプリントではスプリンターが飛び出し、グライペル、デゲンコルブ、ブアニの順で通過。
マイヨ・ヴェールのグライペルはここでも2位以下との差を広げていきます。
今大会のグライペルは非常に調子がよさそうですね。逆に昨日は展開が向かなかったというのもあるもののカベンディッシュは今ひとつって印象。。
残り25km付近で追走集団がメイン集団に合流するも、残り20km付近でカンチェラーラが集団から遅れてしまう。カンチェラーラは他の遅れた選手と“完走”を目指して残り走り切るのを目標にペダルを回していく。
残り18kmの4級山岳でユーロップカーのテュリクがアタックするも、有力チームのアシスト陣が引く手段に頂上前で吸収されアタックは決まらない。
残り10km地点ではカンチェラーラとメイン集団の差は4分弱までひろがってしまった。
集団前方ではユイの登り口に向けた位置取り争いでさらにペースし、有力勢で前方は固められ、いよいよ“壁”攻略が始まる。序盤に勾配の緩い区間が終わり、激坂区間突入。ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)がアタックをかけると、いち早くこれに反応したのはフルーム(スカイ)だった。
フルームと総合を争うコンタドールは、それまでシッティングで進むフルームにダンシングで対応していたが、これに反応できず遅れてしまった。結局そのままホアキンが先頭ゴールし、もがき切ったフルームが2着でゴールし貴重なボーナスタイムを得た。
この日初め設定された山岳賞はステージ優勝したホアキンが獲得。
ボーナスタイムで1秒マルティンを上回ったフルームが大会3日目で早くもマイヨ・ジョーヌを獲得した。
マルティンはこの日も1秒差に泣きマイヨ・ジョーヌ獲得ならず。。。
この早い段階でのマイヨ・ジョーヌの獲得がスカイのアシスト陣に今後どう影響してくるかも注目したいですね。
第3ステージ終了後の総合順位