これまで簡単にツールの概要や各部門のリーダージャージのことを紹介して来ましたが、サイクルロードレース観戦にあたって、
中継等でよく使われる用語をいくつか紹介使用しようと思います。
なお、筆者の主観で書いているので、厳密にはちょっと違ったりする部分がある可能性もあるので悪しからず。。
アクチュアルスタート
もちろんスタート地点(ライン)からスタートするのですが、スタート地点から実際に競技が開始される地点までに一定の距離が設けられている場合があり、
実際の競技開始地点をアクチュアルスタートと言う。
アクチュアルスタートまでは審判車に先導されゆっくり走り、審判車から振られる旗を合図に実際のスタートが切られます。
また、アクチュアルスタートまでのゆっくりした走行をパレードランと言ったりもします。
逃げ
集団から先行しスプリントポイント、山岳ポイントを、もしくは逃げ切りによるゴール(優勝)を狙うこと。
スタート直後に逃げを狙う選手が次々とアタックを仕掛け、しばらくはそれが繰り返されますが、それが落ち着くと数名~十数名の逃げ集団が形成されます。
集団逃げは少ないと1名だけの逃げ(非常に稀)の場合もあれば、20名以上の大所帯となる場合もありますが、10名弱くらいが一番頻度は多い様な気がします。
「逃げ集団」は序盤メイン集団を引き離し、時には15分等大きな差がつくこともありますが、メイン集団がペースをコントロールし、終盤勝負どころの手前
(ゴールまで数km~十数km)までに、「逃げ集団」を「捕まえ」、「吸収する」のが一般的です。
ほとんどの場合、単独での逃げはないので「逃げに乗る」なんて言います。
また、逃げ切り勝ちが決まることはごく稀で、実際に選手も先日も紹介したTVへの露出や、スプリント、山岳のポイント獲得を目的としている場合がほとんどです。
アタック
集団から逃げる、自身がいる集団より前の集団に加わる、中間スプリントポイントや山岳ポイントを集団の前で通過し加点する等のためにペースをあげること。
ペロトン
集団のこと。サイクルロードレースは風の抵抗を出来るだけ減らすことで体力の消耗を抑え、力を温存するために序盤から勝負どころまで
出走選手が集団となって走行します。(ある程度チームごとに固まって)
集団の先頭に位置しペースをコントロールするのは、総合リーダーを有するチームであることが多いですが、スプリントステージでは
優勝(ステージ優勝)を狙うスプリンターを有するチームが先頭でコントロールすることともあります。
また、横風区間や登り区間等でライバルチームを集団から切り離す(後方に追いやる)ために、先頭に出てペースを上げるチームがあったり、
集団がどれくらいのペースでコントロールされているか、どういう思惑でそのペースなのかを考えながら観戦こともサイクルロードレースの面白さのひとつです。
日本語で「集団」と言われることや、「逃げ集団」、「追走集団」等いくつかの集団が形成されている場合は、「メイン集団」と呼ばれる場合もあります。
共闘
集団から逃げる、逃げ集団を追う等同じ目的を持った複数のチームや選手が、目的の達成のため、先頭交代を交互にする等して協力しあうこと。
チームの利害関係が一致した場合に起こりますが、目的が達成された後は、また敵同士としての駆け引きが始まります。
勾配
もちろん山岳ステージ等の坂の傾斜を表すものなのですが、「角度の●°」ではなく、進んだ距離に対して、どれだけ上昇するかの勾配率を「●%」で表記します。
例.1,000m進んで100m上昇した場合、100m÷1,000m=10%の勾配です。
よって、勾配100%の場合、角度は90°ではなく45°となります。
10%を超えるとかなりの急坂として認識されます。距離にもよりますが、超級山岳でも平均勾配は10%程度です。
激坂として有名な坂や峠をいくつか、、、
※山・峠のピークへのアクセスにはいくつかルートがある場合があり、ルートにより異なるものもあります。
1.モンテ・ゾンコラン(イタリア)
ジロ・デ・イタリアに登場する山 平均勾配11.2% 最大勾配23%
2.モルティローロ(イタリア)
ジロ・デ・イタリアに登場する峠 平均勾配10.9% 最大勾配18%
3.ミュール・ド・ユイ(ユイの壁)
フレッシュ・ワロンヌに登場する坂 平均勾配9.3% 最大勾配26%
4.アングリル(スペイン)
ブエルタ・ア・エスパーニャに登場する山 平均勾配7.9% 最大勾配23%
グルペット
小集団を意味する言葉で、山岳コースを苦手とするスプリンター等がタイムアウトにならない様にペースを保ちつつも、
協力しあうことで必要以上の体力を使うことを避け走るために作る集団のこと。
有力なスプリンター等の「グルペット」とい呼びかけに何人かの選手が応じてグルペットが作られる。
チームカー(サポートカー)
各チームが選手をサポートするために用意している車でグランツールの場合、2台体制です。
チームカーには監督が乗り込み、レースコミッセールからラジオの情報に基づき選手に様々な指示を出したり、選手へのボトルや補給食の提供や、
気候に応じてウィンドブレーカー等のウェアの受け渡しや回収をしたりします。
また、メカトラブルが起こった際に、ホイールやバイクの交換を行ったり、機材の調整をしたりします。
パンクした場合はホイールのみの交換ですが、ディレイラーの異常等時間のかかる場合はバイクごと車載しているスペアバイクに乗り換えます。
機材調整は、止まって選手が下車して行うことはなくほとんどなく、メカニックがチームカーから身を乗り出して自転車と並走しながら行ってしまうという離れ業をやってのけます。
逆に下車して行わないとならない調整や修理はバイク交換になります。
ニュートラルサービス
パンクした場合チームカーが来るのを待ち交換用ホイールを受け取るというのが通常ですが、コースの形状上チームカーが
逃げ集団の選手のところまで上がれない様な場合等の救済を目的として、どの選手もサービスを受けられるニュートラルサービスカーが導入されています。
ニュートラルサービスはSHIMANOやMAVIC、vittoria等のホイールメーカーが提供しています。
ボトル運び
アシスト選手が集団の後方にいるチームカーまで下がり、チームメイトのためにチームカーから受け取ったボトルを運ぶこと。
これもアシスト選手の重要な役割で、脱水症状をおこしやすい夏場のレース等では頻繁に行われます。
ウェアの背中側にいっぱい詰め込んで運ぶのが一般的ですが、ティンコフ=サクソはボトル運び専用のベストを導入して話題になりました。
トレイン(列車)
エースを風の抵抗から守り、力を温存した状態で勝負どころまで運ぶためにチーム全員が1列になり、走行すること。
スプリントステージのゴール前では、ゴールを狙うスプリンターを要するチームのトレインがいくつもでき、ポジション争いも非常に激しくなり、
接触による集団落車が起こることも多々あります。
中には選手がばらけ、トレインを組むことが出来ないチームもあるので、チーム力の差を見ることもできます。但し、エースが総合系の場合、
スプリント勝負はしないので、スプリントステージでのゴール争いに参加しないチームももちろんあります。
また、通常は自チームのトレインの後方にエースは位置しますが、自チームがトレインを組めない様な場合に、他のチームのトレインの後ろにつき、
そこからスプリント勝負を仕掛ける「無賃乗車」をする選手もいるので、各有力選手がどの位置取りをしているかを確認しながら観戦するといいでしょう。
フラム・ルージュ
フランス語でフラム=炎、ルージュ=赤なのですが、残り1km地点であることを表すコース上に設置された赤色の円筒状のアーチ状の門を指します。
スプリントステージ等ではここから先頭のポジション争いが一層激化します。
まだまだ色々な用語がありますが、今日のところはこれくらいに、、、