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【レース詳報】J:COM presents ツール・ド・フランス・さいたまクリテリウム|マイヨ・ヴェールのペーター・サガンが初制覇

10月29日(土)、史上初めてツール・ド・フランス4賞ジャージが揃って参加した他、個人総合2位のロマン・バルデ、世界屈指のスプリンター マルセル・キッテルら、豪華メンバーが参戦した『J:COM presents ツール・ド・フランス・さいたまクリテリウム』 が、さいたまスパーアリーナと周辺道路に設けられた特設コース(1周3.1km×20周、62.0km)で行われました。

2013年の初開催以来4回目の開催にして、初めてツール・ド・フランスの4賞ジャージが揃って参加。
日本でツール・ド・フランス4賞ジャージが揃うことも史上初。

レースは残り2周で抜け出した4名によるゴールスプリントを制しマイヨ・ヴェールのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)が優勝しました。
2位には16年全日本選手権の覇者 初山翔(ブリジストン・アンカー・サイクリングチーム)が、3位には16年ツール・ド・フランス個人総合優勝(マイヨ・ジョーヌ)のクリストファー・フルーム(イギリス、チーム・スカイ)が入りました。


 

◉今年もたくさんのファンが集結

絶好の秋晴れとまではいかないものの、前日降った雨もあがりドライコンディションで行われた今年のツール・ド・フランスさいたまクリテリウム。

今年で103回目をむかえたツール・ド・フランスの4賞ジャージが初めて揃って日本を走る歴史的瞬間を観ようと、朝早くから今年も多くのファンが集結。
沿道の観覧エリアには幾重にもわたって人垣ができ、間近で観る世界のトッププロをはじめとする選手たちに熱い声援が送られました。

 

◉メインレース前の2つのレース

《個人タイムトライアル》
クリテリウムメインレース前に行われた個人タイムトライアル(1周3.1km)には、2016年のツール王者にしてリオ五輪個人TT銅メダリストのクリストファー・フルームが登場。

個人タイムトライアルの最終走者としてスタートを切るクリストファー・フルーム。Photo by ©Saitama city

4分4秒20のタイムで優勝したペトル・ヴァコッチ(チェコ、エティックス・クイックステップ)から3.8秒遅れの4分8秒とタイムは伸びなかったが、ツール王者の生の走りに沿道のファンの熱気は急上昇!!
さいたまクリテリウム個人タイムトライアルでは、TTバイクの使用は禁止されていますが、いつかフルームがTTバイクで走る姿も生で観たいですね。

《ポイントレース》
3.1kmのコースを7周、合計21.7kmを走り、1周目、3周目、5周目、7周目のフィニッシュラインに設けられたスプリントポイントの通過順に与えられるポイントを競うポイントレースでは、この日はツール・ド・フランスジャパンチームとして参戦の新城幸也(ランプレ・メリダ)が逃げに乗る積極的なレース運びで12ポイントを獲得。
沿道の至る所からから飛ぶ『幸也!!』の声援に応え、見事ポイントレースを制しました。

ポイントレースで逃げてポイントを量産した新城幸也

 


 

◉4賞ジャージを先頭にレーススタート

いよいよクリテリウムメインレースに向け選手達がスタートラインに集結。ツール・ド・フランス同様、各賞リーダージャージが最前列並ぶ姿がついに日本で実現しました。

ツール・ド・フランスの各ステージのスタート時と同様、最前列に4賞ジャージが並ぶ。

午後15時、清水勇人さいたま市長の合図でスタートが切られると、1周目山岳賞手前ブリジストン・アンカー・サイクリングチームの内間康平がアタック、これに国内チームの選手5名が反応し抜け出すが、バックストレッチでニュートラルとなり、レースは仕切り直し。
2周目手前で集団はひとつになり、2周目スタートラインを通過したところでレースが再開すると、サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアル)、ファビオ・サバティーニ(イタリア、エティックス・クイックステップ)、クーン・デコルト(オランダ、ジャイアント・アルペシン)、ミカル・ゴラス(ポーランド、チーム・スカイ)ら、UCIワールドチームの選手達が入った11名の逃げが形成され、集団から20秒のアドバンテージを得る。

6周目に入ったところで逃げが吸収されるが、今度はロメン・バルデ(フランスAG2Rラモンディアル)、マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)、ミカル・ゴラスを含む6名が逃げる展開に。
この逃げグループは集団から50秒のリードを奪い、集団もこれを容認しレースは一旦落ち着く。

途中に設けられたスプリントポイントは逃げグループ内での争いとなり、7周目、11周目のスプリントポイントをキッテルが軽いスプリントで他を圧倒し確実に得点を重ね、9周目、13周目の山岳ポイントはこちらもバルデが連続でトップ通過し、ポイント賞、山岳賞の大勢はここで決まった。

11周目のスプリントポイント通過後にバルデが一人逃げグループから抜け出しを図り、単騎逃げに。残り7周で追走グループの5名が吸収。逃げるバルデを新城幸也が集団を牽いて追いかけ、残り6周に入るところで一気に差を詰めバルデを捉える。

 

◉フミと幸也がアタック!!

残り6周。
ついに最後まで逃げていたロマン・バルデを集団が吸収。アンダーパスの下りを利用して別府史之(ツール・ド・フランスジャパンチーム/トレック・セガフレード)がアタックを仕掛けると、これにツール・ド・フランスジャパンチームとしてタッグを組む新城とアレクシ・ヴュイエルモーズ(フランス、AG2Rラモンディアル)が反応。3名の逃げが再度形成。新城が別府のために積極的な牽きをみせ、集団との差は23秒まで拡大。

残り3周。逃げ3名から別府が飛び出し、独走態勢に。
先週ジャパンカップクリテリウムを連覇した別府の果敢な走りに沿道の観客のボルテージは最高潮に。

独走を続ける別府。沿道から『フミ~!!』の声援が飛ぶ。

 

◉ゴールスプリントはマイヨ・ヴェールのサガンが制す

日本人初優勝に向け懸命に逃げる別府を残り2周に入ったところでペースを上げた集団が捉えると、レース前『(強いスプリンターがいるので)僕が勝つにはどこかでアタックを仕掛ける必要があるね。』と語っていたフルームが満を持してアンダーパスの下りを利用してアタック。
これに反応したのは、なんとマイヨ・ヴェールのサガン、マイヨ・ブランのアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)、全日本チャンピオンジャージを着る初山翔(ブリジストン・アンカー・サイクリングチーム)。

残り2周。アンダーパスの下りを利用してアタックするフルーム。
サガン、イェーツ、初山がこれに反応。

豪華メンバー4名によるアタックはサガンが先頭を牽いて集団との差を開き、11秒のアドバンテージを持って最終周回に突入。

サガンを先頭に逃げグループ4名が最終周回に入る。

最後方に位置していたイェーツがさいたまスーパーアリーナ内でアタック。フラムルージュで2秒ほど後続を引き離すが、フルームがこれを追いバックストレッチで差を詰める。
最終コーナーをイェーツが先頭で回るものの、差がなくフルーム、初山、サガン続く。
残り250mでフルームが腰をあげてスプリントを開始。これに初山が続き、スプリントでは地力に勝るサガンは最後まで冷静に脚を溜め一番後ろからスプリントを開始。
一気にフルームと初山を抜き去りツール・ド・フランス5年連続ポイント賞に輝くサガンがスプリントを制し、見事さいたまクリテリム初優勝をあげました。

Photo by ©Yuzuru SUNADA

サガンに挑んだ初山が2位、フルームが3位、アタックを仕掛け脚を使っていたイェーツが5秒遅れて4位。

表彰台は逃したものの、後続集団でのスプリントはキッテルがしっかり制して4位を確保。逃げて会場を沸かせた別府は7位に入った。

後続集団スプリントはキッテルが制する。

 


◉2016ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムリザルト

 

◉2016ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム各賞

ポイント賞
マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)

山岳賞
ロマン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアル)

ヤングライダー賞
アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)

敢闘賞
別府 史之(ツール・ド・フランスジャパンチーム/トレック・セガフレード)

チーム総合
ティンコフ

日本チーム総合
ブリジストン・アンカー・サイクリングチーム